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【中山道】日本橋から赤門

江戸(東京)を起点にする古道は五街道と呼ばれます。東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道です。一番有名なのは東海道ですね。今回は江戸と京都を結ぶ中山道を少しお散歩してきました。

中山道の旅は日本橋から始まります。日本橋には立派な橋柱があります。明治以降、日本は盛んに西洋文化を取り入れようとしました。橋の装飾はその現れとも言えます。でも、よく見ると獅子は実に日本的。ルネサンス期の彫刻家の作品をモティーフにしたようですがやっぱり日本のエッセンスは残ってしまうようです。橋の中央にいるドラゴンは麒麟。これは中国の聖獣です。和洋折衷+中華な様式の橋となっています。

三井本館の立派な建物が見えます。着工は大正時代。きちんとお金をかけて修復や改修してあるのでとてもキレイです。こういう柱が目立つ建物はローマ建築を採用しています。柱の頭の装飾が派手派手なのはコリント式と言われます。銀座界隈はアンテナショップが多いので買い物だけして帰ろうかという誘惑に駆られました。

路地裏も好きなので道のわきに面白看板があるとつい見に行ってしまいます。神田一安い店…、夜はサラリーマンで賑わうのでしょうか。

角にいい感じに歴史感漂うビルがありました。鷹岡(株)東京支店の建物です。昭和10年竣工の建物ということです。しかも、まだ現役で使われているようです。ビルの上部の細かい装飾がたまりません。

老舗の甘味処竹むらです。粟ぜんざいや揚げまんじゅうが有名です。というのも、池波正太郎がたびたび訪れたお店でもあるからです。

"竹むらの名代〔揚げまんじゅう〕をおみやげに包んでもらう。このおみやげを殊勝に家族のもとへ持ってかえるかというと、そうではないのだ。これからあとに、われらの真の目的があるわけで、揚げまんじゅうは白粉の匂いのする生きものの口に入ってしまうのである。"
「散歩のとき何か食べたくなって」より

さてさて中山道を進むと有名な神田明神がありますが、今回はその隣にある湯島聖堂を訪れました。ここは学問のご利益があると言われているところです。孔子廟(こうしびょう)と言って孔子様を祀る場所なのです。

建物の屋根に何かいますね。日本橋でも見た麒麟が飾られているのです。境内には立派な櫂(かい)の木があります。中国の孔子墓所にも同じ木があり、それを真似てここにも植えられているのです。

 

湯島聖堂の庭一面に咲く紫の花はショカツサイです。諸葛孔明が食料不足を補うために植えた花とされています。繁殖力が強いので手に入りやすい野草です。中国の賢人繋がりでここに植えられたと察します。

そして珍しいものをもうひとつ。湯島聖堂の前門である入徳門の木鼻です。長い鼻をしている動物がいます。中国の聖獣の貘か象ですね。貘は象がモデルになってることもあり、その見分けは難しいのです。

東京大学の赤門前です。徳川家斉の娘、溶姫が加賀藩に嫁入りした記念に建てられました。徳川家からお嫁をもらった大名はこの朱塗りの門と御守殿を建てなければならず、参勤交代の費用もかさむ中、大変だったろうなと思います。

 

その足で赤門ちかくの樋口一葉にゆかりのある場所を訪れました。一葉の桜木の宿の碑がある場所に法真寺があり境内に一葉桜が咲いていました。八重咲きの桜でとても存在感があります。

 

横道にあった本郷カフェに立ち寄りました。こぢんまりとした店内はテーブルが三つ。自家製のコーヒーゼリーを頂きました。酸味が強めのコーヒーでつくられていてクリームとよくあいます。甘さ控えめなので甘党の方はガムシロップをかけてもよいかも。

 

"東大生と共に明治から"キャッチフレーズが良いですね。地元愛が溢れます。学生御用達のお店は大盛りな予感がします。

このあたりから雨がぽつぽつ振り出したのでお散歩を切り上げることにしました。

せっかく文京区まで歩きましたのでパイ専門店のマミーズアンスリールのアップルパイを買って帰ることにしました。りんごのコンポートは甘さ控えめで美味しいです。全体的に優しくなぜか懐かしい味。小さなお子様も好きそうです。ちなみにシナモンとラムが効いた大人のアップルパイもあるようですよ。

流石に江戸時代を感じさせる建物はもうありませんでしたが、昭和の古き良き面影はまだまだ存在しています。逆ルートを歩いて銀座のアンテナショップでお買い物をして帰るのも良いかなと思います。東京大学付近には孔子を祀る湯島聖堂、菅原道真を祀る湯島天神がありますが、双方ともに学業の神さまであります。このあたりはまさに学びの聖地ともいえる場所ですね。

それでは、またお会いしましょう!