夏山シーズンが到来しましたね!去年は感染防止の為、夏山登山を中止していましたが山小屋の感染対策も進んできましたので2年ぶりに高山登山を再開しました!冬山をされない方は夏山登山の準備として、春先から低山登山で慣らし、少しずつ距離を伸ばしていくのが一般的です。今回は北アルプス登山経験者が長期山行をする為のトレーニング向けコースをご紹介します。
コース案内
登山レベル | ★★★☆☆ |
コース |
1日目 美濃戸口-北沢-赤岳鉱泉 2日目 赤岳鉱泉-中山展望台-阿弥陀岳-御小屋山-美濃戸口 |
コースタイム |
1日目 3時間 2日目 6時間10分 |
距離 |
1日目 6.7km 2日目 8.3km |
往路アクセス | 茅野駅から美濃戸口までバス |
復路アクセス | 美濃戸口から茅野駅までバス |
参考地図 | 山と高原地図33八ヶ岳(昭文社) |
高山登山の入門として八ヶ岳山域はよく利用されています。一般的に夏沢峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳に分類されます。前者はおだやかなコースが多く、後者は主峰赤岳を中心に荒々しい岩稜帯が楽しめる場所となっています。
今回は南八ヶ岳の阿弥陀岳2805mへ登ります。赤岳に登ると隣に見えているピークですね。赤岳と同じく山頂は切り立った岩場が多く岩稜帯の練習ができる山となっています。美濃戸口から出発し、赤岳鉱泉、阿弥陀岳、御小屋尾根を経て美濃戸口に戻る周遊コースを歩きました。
茅野駅から美濃戸口までのバス乗車料金は1000円となります。梅雨も明け快晴のこの日、バスはさほど混雑していませんでした。全員着座して登山口まで向かいます。途中の車窓からは雲一つない八ヶ岳の山容を眺めることが出来ました。
初日軽めでウォーミングアップ
バスは八ヶ岳山荘前に停まります。山荘でお手洗いを借りて出発しましょう。歩き出しから美濃戸と御小屋尾根の分岐がありますよ。初日、山小屋までのコースタイムは3時間。そして難所もなく、なだらかなコースが歩けます。
ここで注意点がひとつ。初夏の美濃戸口にはアブが結構出ます。年によって個体数は増減しますが、今年もそこそこのアブが飛んでいました。虫よけスプレーを全身に噴きかけ、バグズネットをかぶって防御します。アブにかじられると地味に痛いんですよ。
北沢の堰堤広場(えんていひろば)までは林道が続きます。たまに自動車が走るのでハイカーは道の端に退避しながら歩きます。このあたりは標高が1500mあるので平地より10℃近く気温が低いのですが日陰の少ない時間帯なので歩くとかなり暑いです。
堰堤広場を抜けてなだらかな登山道を歩きます。シラビソやツガの亜高山帯の森となっています。道幅が狭い分、陽がさえぎられて涼しく感じます。
北沢の流れが癒しですね。このコース初日は足慣らしの日なのでいつもよりゆっくりと歩いて明日のウォーミングアップをしておきます。
のんびりと歩いて赤岳鉱泉に到着です。梅雨明けの最初の週なのでテント場もそこそこ混みあっています。写真の中央のたんこぶがある岩山が大同心、その右のピークが小同心です。
感染症対策はバッチリ
赤岳鉱泉の感染症対策ですが、従業員はマスクとビニール手袋着用。到着後に検温があります。受付名簿にプラスして健康確認表を記載します。部屋は一人ずつ仕切られて新しく換気扇が設置されていました。トイレにはアルコールとハンドソープがあり、使用するたびにトイレのドアノブを消毒するように注意書きがありました。かなり注意して運営されております。
欲を言えば、赤岳鉱泉はWi-Fiもある小屋なので会計にpaypayなど電子決済を導入するとお金の受け渡しがなくなりますので感染症対策に有効かなと思いました。(※2021/07時点では支払いは現金のみ)
受付も終わったので小屋前のテラスで一杯やります。赤岳がコンニチワしておりますね。明日もこれくらいお天気をお願いします、という気持ちをこめてカンパーイ。
山小屋に名物あり
赤岳鉱泉の名物と言えば温泉とビフテキ!ですね!自分で焼くスタイルです。がっつり系の夕食で明日の英気を養います。
ちなみに食堂のテーブルも仕切り板が設置されており、多くの方が黙食されておりました。感染が収束して心置きなく山の会話を楽しみながら夕食を頂けるようになりたいものです。
ちなみにもう一つの名物の温泉は男女別の内湯となっており定員は4名です。カランはないので湯殿から汲み湯して体をきれいに洗ってから入浴しましょう。テント泊でも利用料1000円で入浴できます。入浴可能時間は19時までとなっておりました。
山小屋で肉を食べ温泉に入り…、そんな贅沢をしていると本当に山に来たのかしらという気持ちになってきます(笑)
1日目が終了です。
2日目、5:30に小屋を出発します。小屋の入口から早速コースが分岐しますよ。行者小屋に向けて歩きます。行者小屋までは途中、九十九折の道が少しあるくらいで基本はなだらかな道となっています。
マムートロゴ発見。このあたりの整備費用はマムートさんが出資されているようです。アウトドアメーカーで登山道の整備に寄付をしてくれるとは有り難いですね!こういうSRIに力を入れているメーカーさんがどんどん増えてくれれば良いと思います。
行者小屋のテント場も大賑わいです。赤岳もばっちり見えています!今日も良い山行になりそうです。テント場を通り過ぎてしばらく行くと、文三郎尾根と中岳のコルへの分岐があります。中岳のコルへと進みますよ。
分岐からはどんどん高度を上げていきます。九十九折の道が続き急登です。一定のペースを守りながら登っていきましょう。それにしても赤岳が雄々しい。
中岳のコルにつけば目の前には青々と浮かぶ富士山がお出迎えしてくれます。お天気は最高!こういうとき心の中で有難うございますを連発してしまいます。
さてさて、ここからが岩場となりますのでしっかりと休憩を取ってから出発します。
阿弥陀岳までは岩場の訓練
おわかりいただけただろうか。
かなりの岩場です。手も使って登りますが、あまり手の力に頼りすぎないようにするのがポイントです。足に体重がしっかりと乗っていることを確認し、体重移動を意識しながらゆっくりと登ります。
中岳のコル~阿弥陀岳はコースタイム30分弱と短く岩場の訓練にはちょうど良い場所なんですよ。
ここの足元をご覧ください。ガレています。そして、急な岩場。ここは自分が落石を起こさないように細心の注意が必要な場所です。実際は数名の方が小石を落とされていました。阿弥陀岳はヘルメット要着用ですね。
山頂到着です!赤岳がドーンと見えています。ここから赤岳をみるとまさに「山」という漢字にそっくりですね。
山頂から中央アルプスを臨みます。あまりにも天気が良いので360℃完全なパノラマビューとなっております。山頂でゆっくりと過ごす人も多いです。私もここで珈琲を淹れてのんびりとしておりました。
稜線歩きを満喫
ここから快晴の稜線歩きとなります。写真の岩峰もコースの一部。よく見るとピンク色の点が見えませんか?景色を楽しむ登山者が映り込んでおりますよ。
ハイマツをガサつかせながら進んでいくと先ほどの岩峰が少しずつ近づいてきます。ここからは中央アルプス、北アルプス、妙高戸隠方面が見渡せます。北アルプスには槍ヶ岳のピークも確認できました。
とはいえ、反対側も岩が露出しているところがあって気が抜けません。写真では分かり辛いですが細いロープの場所はかなり急です。慣れていない方は後ろ向きで両手をしっかり使って降りましょう。そして、そこそこ傷んでいるロープを両手で掴んでしまうと、万が一切れてしまった場合にバランスが一気に崩れます。片方の手は岩を捉えたほうが良いですね。
高度を下げていくと亜高山の森へ入ります。最初はシャクナゲが混じっていたのがいつのまにかシラビソの森となっていきます。
不動清水の水場を過ぎると道はだいぶ良くなります。水場から次のピーク御小屋山まではコースタイム1時間となっていますが、だいぶ巻いて到着できました。(※人に寄ります。私は終盤まで7割くらいパワーで歩くので後半はコースタイムの0.7くらいになることが多いです。)
樹林の中の静かなピークです。とってもなだらか。
そして、気づかないふりをしていましたがやっぱりアブが出てきています。尾根のコースなので大丈夫かと思いましたが、かなり大量です。バグズネットと虫よけとミントスプレーで武装します。虫よけとミントスプレーですが、ミントの方が効いている感じがしました。私はハッカ油は薄めずに使うので強烈なのかもしれません。
植生にササが混じってきました。植物の移り変わりでも高度が分かりますね。それにしても、アブがヒドイ。さっさか歩いて登山口を目指します。途中であった男性はズボンに10匹くらいまとわりつかれていましたね。
美濃戸口までは別荘地帯を抜けますがここがちょっと長く感じるかもしれません。別荘付近はアブが減りました。何故でしょうか。
美濃戸口に到着です。バス停のすぐ近くでお風呂が借りられる場所は、八ヶ岳山荘とこちらのJ&Nです。本日はJ&Nに立ち寄らせて頂きました。食事をセットにすると770円の入浴料が半額になります。ありがたや。
まとめ
八ヶ岳は初日の歩行時間を3,4時間、2日目を6,7時間と調整できるコースが多いのでこれから本格的に2泊3泊の北アルプスや南アルプスの山行をされる方のトレーニングにおすすめです。
阿弥陀岳は赤岳より人が少ないですが、短くとも手ごわい岩場がありますのでしっかりと3点支持を意識すること。そしてヘルメットを持っていきましょう。美濃戸口のアブは行者小屋や赤岳鉱泉あたりまでくるといなくなります。ご安心を。気になる人は虫よけやバグズネットで身を守ると良いと思いますよ。
それでは、またお会いしましょう!
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