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【登山ガイドたより】25号

御西避難小屋から日本海を臨む 佐渡島が大きく見える
御西避難小屋から日本海を臨む 佐渡島が大きく見える

登山ガイドの村井です。吹く風にそこはかとなく秋を感じる日が多くなりましたね。
今年の夏はツアーが2本中止となったので個人山行へ充て、一度行ってみたかった飯豊連峰に出掛けました。
お花畑や秋の草紅葉が有名な飯豊連峰ですが今回は地形に焦点を当ててご紹介します。

入山は福島県の川入からです。花崗岩が混じった土なので登山道が深く掘れて稜線に出るまではところどころ歩きづらい箇所がありました。花崗岩は脆く真砂土といって風化すると砂粒状になるのが特徴です。

 

剣ヶ峰をむかえると急峻な岩場に出くわします。見た目は岩角が風化して削れ花崗岩っぽいです。

 

種蒔山を越えると起伏が緩やかになり花崗岩の真砂土が現れます。ここからは北飯豊の朳差岳まで花崗岩質の地形が続きます。全体的になだらかですが浸食を受け登山道が削られている場所が多くなります。

 

北股岳の手前には構造土がありました。構造土は氷河があったり寒冷な地域で長い長い時間が経過する中、岩屑が振るい分けられ模様のように見える地形です。
飯豊でも高山植物がある場所と岩屑が露出している場所が交互になっている様子が見られました。北アルプスや南アルプスといった3000m級の山岳がある場所でも見ることができますが、標高が2000mと低い飯豊連峰にもありました。

 

ちなみに飯豊連峰は1600~1700mあたりから樹木がなくなってササやイネ科の植物が混じる「偽高山帯」と呼ばれる場所となります。高山の風景に類似しているので偽と名前が着きました。風衝地にはハイマツやガンコウランの群落もありました。

 

下山は、新潟県胎内市へ降りる足ノ松尾根を使いました。尾根の途中の水場の先より地質が変わって急峻なヤセ尾根が連続しています。この辺りは硬質な岩で出来ていました。
飯豊連峰はなだらかな場所は花崗岩、急峻な場所は硬質な岩が露出していることが分かりました。

 

これまで東北の百名山は八幡平、岩木山、岩手山、蔵王、鳥海山、月山に行きました。どの山もそれぞれに魅力があって素敵でした。
北アルプスや八ヶ岳と違って避難小屋が多かったり、登山口の標高が低い場所にあるので標高が2000mの山でも3000m級の高山くらい登るのに体力を使う山もあります。登山計画を立てるときは山小屋の設備や標高差を十分考える必要がありますよ。

・今後の登山教室の予定

928()おひとりさまの登山術は満席となっています。

1013()おひとりさまの登山術はツアー予定があり日程が変更になります。

決まり次第WEBサイトでお知らせいたします。

 

※登山教室は開催日の1ヶ月ほど前から募集をいたします。